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今日は住んでいる魔法都市から出て、隣町まで来ている。
こっちの世界でついた仕事の一環だ。
それも済ませて、今はちょうど昼飯時。
どこかでパンでも買うかな、と大通りをさすらっていた。
今日は雇用主から小遣いをもらっている。
いつもと違う贅沢もできそうだ。
透き通るような晴天。
汚れていない綺麗な空気と、春の陽気。
魔法都市が近い町だからか、人通りが多く賑やかだ。
剣をぶら下げた冒険者、大きな杖を携えた魔法使い、大型獣を引くテイマー、行商、衛兵、大道芸師……。
これで聞こえてくる会話が、
「いやドーナツはどれだけ食べても0キロカロリーだから」
「とは言ってもワンチャンあるくない?」
「俺みたいな隠キャにトップギルドの採用試験とか無理すぐる」
じゃなきゃ、異世界に浸れるのにな。
大通りは町の中央から海岸近くへと伸びている。
気の向くままに歩いていると、一軒の店を見つけた。
この世界の店では珍しく、看板が出ている。
ランチメニューのイラストに、値段が書かれていた。
「……ん?」
安くね?
だいたい相場の半額だ。
罠? ぼったくり?
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