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「そこは経費かけていい部分だよ。注文間違い怖いし。前世のファミレスだって、お店によっては高いタッチパネルやアプリを使ってたじゃない。それに比べたら羊皮紙の切れ端くらいなんてことないよ」
それもそうか……?
まあ店よっては配膳ロボットまでいたしな。
「そもそも何でサイゼ縛りなんだよ。異世界転生人を探すためではないんだろ?」
「他に異世界人がいるなんて思ってなかったからね」
カナはチラリと厨房を見て、
「おかみさんを助けたくって」
と呟いた。
「おかみさん?」
「ここの厨房を全て担当してる。転生して間もない私に優しくしてくれた恩人だよ」
「恩人……」
「魔物の出る森から命からがら逃げて、ボロボロで飢えてた私を助けてくれた。冒険者に小突かれたり憲兵に追い払われていた私をね」
それは紛れもない恩人だ。
命の恩人と言ってもいい。
「おかみさんは冒険者向けの食堂をやってたんだけど、最近は魔法都市内に飲食店が増えてきて、経営不振に陥っちゃったから閉めることになったの。でも続けて欲しくて」
「だから、サイゼ」
「値段をグッと下げて、ターゲットを冒険者から町の人や魔法学校の学生に変えて。そしたら、話題になってお客さんが入るようになって、むしろ前より儲かるようになった」
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