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「このあとはどちらに行かれます? 東口を出てすぐのところにあるカフェでいいでしょうか?」 「それでいいですよ。ちょうど東口の本屋さんに行く予定だったので」  たぶんあのお店だと、遥は自分でもときどき利用する書店を思い浮かべた。  同じ店に通っているとわかっただけでも嬉しい。  そんなわけで、遥は出会って間もない男の人とともにカフェへと向かうのだった。  このあとの流れは何も考えていないけれど、いい方向に話が進みますようにと、遥は切に願って店の自動ドアをくぐった。  二人でアイスコーヒーを注文し、向かい合うように座る。  七時半にはここを出たいと彼が言ったので、三十分くらいは話せることになった。 「改めて、先ほどはありがとうございました」  遥は三度目のお礼を伝えたあと、簡単に自己紹介をした。  名前と年齢、職業まではスムーズに話せたのだが、その先が続かない。  コーヒーを飲んで間を取り、ひとまず彼の反応を待つことにする。
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