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「駐車場で待つのは嫌みたいなことを言ってたけど、混んでてなかなか進まないのは平気なの?」  渋滞とは言えないまでも、なかなか進まなくなったところで遥から尋ねる。  前回の話はなるべくしないようにするつもりだったけど、一切触れないことなんてできないと思ったから、別れ際のことにだけ触れないように注意して引き合いに出す。 「そうだね。ここはいつもこんな感じだし、想定内だから平気」 「アウトレットの駐車場もきっと混んでるよね」 「だろうね。でも、あそこはかなり広いから、止められないってことはないはず」  これでもしも入れないほど混んでいたら、将司の機嫌は悪くなるのだろうか。  そんな様子は見たくないけれど、どういう反応をするのか、若干だけど気になる。 「廣畑さん自身は運転しないって話だけど、車に乗る機会は多くない?」  のろのろとした動きが続く中、今度は将司から質問が入る。  話題がそろそろ尽きてきそうだったから、上手に広がるように返したいものだ。
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