16

22/45
前へ
/298ページ
次へ
「それで連絡して、次の約束をしてもらった。廣畑さんが僕の誘いを受けてくれたら、車で買い物に行こうって、最初から決めてた」 「それは、さっき言ってた日常に近いから?」 「そう。あの場所でどれだけ楽しめるかもそうだし、こんなふうに話をする場も用意したかった」  今日一日は楽しかったと、将司は振り返った。  今のこの話も、将司にとっては予定通りの展開のようだ。  遥としても、真面目な話がされることは予想できていた。  だけど、どんな結末を迎えるかは全然読めないし、覚悟だってできてない。  振られておしまいっていうシナリオだけは簡単に描けるけれど、そうなってほしくないという祈りはずっと心の奥底にある。 「さっきも言ったけど、今日は楽しかった。一日中買い物ができるって、僕としては結構重要っていうか、大事にしたいポイントだったんだ」  結局遥は試されていた、ということなのだろうか。  それならそれでいいけど、その審査に遥は合格できたのだろうか。 「そして最後に、僕の話を聞いてもらった。それを受けて廣畑さんがどんな反応をするのか、正直言って怖かった」  何を恐れていたのだろう。  これまでの話に、将司の好感度を下げるような内容はあっただろうか。
/298ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21人が本棚に入れています
本棚に追加