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「僕はまだ、廣畑さんのことを本当に『好き』にはなれてないと思う。廣畑さんの気持ちに応えられないかもしれない」 「……」 「それでもよければ、今度は僕にチャンスをくれないかな」 「え、それって……」 「僕がもう一度、誰かの恋人になれるかどうか、見極めてほしいんだ」  狙っていたのか偶然なのか、将司が最後の言葉を出す少し手前で車は止まった。  おかげで将司がまっすぐに遥を見つめることができて、遥のどきどきは最高潮に達するのだった。 「え、あの、その……」 「ごめん、また言い方が悪かった」  信号が青に変わる前に続きが聞ければよかったけれど、そううまくはいかない。  再び動き出した車にゆられて、遥はついに待ち望んだ言葉をもらうことになる。 「僕を、廣畑さんの恋人にしてほしい」  目を見て言われなくて、よかったのかもしれない。  遥の目にはさっきから涙がにじんでいて、泣いていると思われたくなかったから。 「これまで散々、友達としての一点張りで、廣畑さんの気持ちを受け流し続けたこと、お詫びさせてほしい。本当はすごく嬉しかったんだけど、勇気が出なかったんだ」  そんなの、今となってはどうでもいい。  遥がこれまでどんな気持ちで将司と接してきたかを考えれば、激しくどうでもいいことだ。
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