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「街歩きをしている間とか、買い物をしているときは、そうだったと思うよ」  できていたのか。  今日は友達としてっていう目線ではなかったはずなのに。デート慣れしてるということか。 「……私だけ、どきどきしっぱなしだったんだね」  負けを認めつつ、次からはどきどきさせてやると、遥は静かに心に決めた。  うまくできる自信はないし、遥自身どきどきを抑えられる気はしないから、せめて同じくらいときめかせたい。 「いやいや、ついさっきまではめちゃくちゃどきどきしたよ」  将司の声音がちょっとだけ変わった。  これはきっと、素直な反応なんだろう。遥はちょっとだけ気をよくして質問を重ねた。 「そうなの? さっきって?」 「今もまだしてるよ。さすがに平常心でさっきの話はできないって」 「さっきの話って?」 「……」  暗がりでも、将司の耳が赤くなってきたのがわかった。  なるほど、こういう反応をするんだね。 「そうだったんだね。副島さん、ずっと落ち着いてる感じだったよ。すごいなーって思ったし、悔しいとも思ったし、なんか複雑」  あんまりからかって気分を害したくないし、運転に支障が出たら大変だ。  ここは遥が大人になることにした。
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