21人が本棚に入れています
本棚に追加
「街歩きをしている間とか、買い物をしているときは、そうだったと思うよ」
できていたのか。
今日は友達としてっていう目線ではなかったはずなのに。デート慣れしてるということか。
「……私だけ、どきどきしっぱなしだったんだね」
負けを認めつつ、次からはどきどきさせてやると、遥は静かに心に決めた。
うまくできる自信はないし、遥自身どきどきを抑えられる気はしないから、せめて同じくらいときめかせたい。
「いやいや、ついさっきまではめちゃくちゃどきどきしたよ」
将司の声音がちょっとだけ変わった。
これはきっと、素直な反応なんだろう。遥はちょっとだけ気をよくして質問を重ねた。
「そうなの? さっきって?」
「今もまだしてるよ。さすがに平常心でさっきの話はできないって」
「さっきの話って?」
「……」
暗がりでも、将司の耳が赤くなってきたのがわかった。
なるほど、こういう反応をするんだね。
「そうだったんだね。副島さん、ずっと落ち着いてる感じだったよ。すごいなーって思ったし、悔しいとも思ったし、なんか複雑」
あんまりからかって気分を害したくないし、運転に支障が出たら大変だ。
ここは遥が大人になることにした。
最初のコメントを投稿しよう!