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「私は自分の買い物を楽しむだけじゃなくて、副島さんの買い物も楽しんだつもりだよ」
「それは、僕だって同じだよ。確かに僕はほとんど意見してないけど、質問にはちゃんと答えたつもり」
確かに、どっちがいいかを聞いたときは答えてくれた。
どっちでもいいと言わなかったのはとても好感が持てる。
「そっかそっか。じゃあ、今度はもうちょっと、副島さんの意見ももらおうかな」
「次はもう、僕だってもっとはっきり好みを伝えるよ」
「ほんと? 楽しみにしてる」
次があるっていいなぁと、遥はしみじみ思った。
買い物だけじゃなくて、他にもいろんな好みが聞けると思うと、表情が緩むのを抑えられなくなる。
「ところで、そろそろ待ち合わせ場所に近づいてるんだけど」
そんな気はしていた。
もうすぐ今日が終わっちゃうのかと思うと、それも言いだせずにいたけれど、さすがに現実は受け入れないと。
「家の近くまで送ってもらえたりはするのかな?」
「もちろん。荷物もあるし、言ってくれれば希望の場所まで行くよ」
まだまだ話したいことはあるけれど、それはまた今度にすればいいんだ。
遥は今までにないくらい穏やかな気持ちで外の景色を眺めた。
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