9/26
前へ
/298ページ
次へ
 二回目のデートで居酒屋に行き、彼がものすごい酒豪であることがわかった。  酔った勢いなのか、最近パチンコで負けまくってるからおごってほしいと言われ、それで一気に冷めた。  そのあとも何度かデートをしたけれど、遥の気持ちが一回目のデートより昂ることはなく、今度は遥から別れを切り出した。  付き合っていた期間はわずか四ヵ月。  それを最後に恋愛とは縁がなく、そろそろひと肌が恋しいと思い始めたときに、新たな出会いを得たのだ。  このチャンスをみすみす逃すわけにはいかない。 「えっと、じゃあ、ちょっとだけ」  遥の圧に負けたのか、電車が駅に進入して停止する直前に彼はこう言った。 「ほ、ほんとですか? ありがとうございます!」  彼の気が変わらないように、遥はすぐに返事をした。  声量はできるだけ小さくしたつもりだけど、うまく調節できたかはわからない。  すっかり気をよくした遥は、彼の前を歩いて改札を出た。  このあとはバスに乗る必要があるのだが、そのことは言わずに彼の予定を聞く。
/298ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21人が本棚に入れています
本棚に追加