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「私、自分に自信が持てなくて。でも、今日、河出さんの言葉を聞いてなんだか自信が持てました。『人は誰しもが特別な存在』あの言葉が胸に刺さりました」 「ありがとうございます」 「本当に、お時間取らせてしまい、すみません。それでは良い結果になるように私も祈ってます」  ぺこりと頭を下げた彼女は歩き出す。 「あ、ちょっと」と声をかけていた。それがどうしてなのか、自分にもわからない。なにか、使命感のようなものが働いた気がした。 「はい?」  彼女は振り返る。 「あの、こんなこと言うのは憚られるのかもしれないんですが、もう少しお話しませんか? 近くのカフェで。なんだか、そうするべきだと思うんです」  湊がそう言うと、彼女はにっこりと笑って、「ぜひ」と声を返した。  駅前にあるカフェへ向かうために隣りを歩く彼女。背丈はよく知っている女性とほぼ同じだった。  そして、リクルートスーツからでもわかるほどの大きな胸が特徴的だった。 「どうしました?」 「いや、なんでもないです。あの店にしましょう」  そう言って気をそらせる湊。  知らず知らずのうちに彼女を見続けていた。あの女の子に重ねて。  不思議そうに首を傾げるその仕草。  それはもう、詩にしか見えなかった。
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