02 合同授業

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 貴族が平民を見下すのは、何も学園内に限ったことではない。特権階級であり内政を担う貴族はそれだけの権力を有している。だが、社会の縮図とも言える学園という箱庭で、それは嫌でも顕著になる。 「何をしているのです、早く先生も剣を構えて。ああ、それとも忘れてしまいましたかな? 魔法剣は貴族に伝わる武術ですからね。ホークアイ家が貴族位を剥奪されたのは……ええと」 「九年前。ちょうど僕が卒業した年ですよ」  答えながら剣の柄に手をかける。そして無意識に正眼に構えようとして、持ち直す。魔法剣で使われるのは主に両刃の両手剣か刺突に特化したレイピアだ。見た目の美しさから、レイピアのほうが好まれる傾向にある。今二人が手にしているのもレイピアだった。 「ああ、そうでした。それで座学だけは優秀だったあなたが、教師に推薦されたんでしたっけね。まったく、あのお方も余計なことをしてくださる」  最後のほうが小声だったのは生徒に聞かせないためだろう。実のところ、路頭に迷っていたレイを誰が教師に推薦したのか、それはレイ自身聞かされていない。不要な恩義を感じさせないための配慮と聞いているが、レイはどうもそれ以外に理由がある気がしていた。 「話がそれましたな、それでは――構え」  これ以上煽ってもレイには効果がない。そう判断したのだろう、アドルフは試合開始の合図をする。  互いが手に持ったレイピアをまっすぐに相手へと向け、次いで自らの正中線に持ってくる。そして斜め下に振り下ろせば、試合開始だ。
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