02 合同授業

4/4
前へ
/35ページ
次へ
 正直、こんなところ(授業なんか)でアドルフと対立するのは避けたい。アドルフは子爵だ。国全体でみれば下から数えたほうが早くとも、学園内ではそうはいかない。  学園での最高位は学園長であり、現国王の弟でもあるガーシュ・ウィルフリッド・テラリア公爵。だが実際に教師を取りまとめているのは教師長のバーグ・ヘンケン。爵位はアドルフの一つ上の伯爵だ。アドルフの子爵という地位が学園内でどれだけの力を持つかがわかるだろう。  その矛先がレイにのみ向けられるのならばまだいい。だが、それはまずありえない。現にこの合同授業ではシャノンがすでに標的にされている。アドルフの不興を買えば、そのしわ寄せはまず間違いなく、レイの担当する平民クラスにやってくる。  わかっている。だが、それでも――。 「同じ教師として、格の違いというものを教えて差し上げますよ、レイ先生!」  アドルフの持つレイピアの先端に魔力が集中する。先ほどの、レイが気絶したときと同じ魔法。  ――それでも、自分の教え子を馬鹿にされることだけは我慢ならない。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加