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03 模擬試合
「ignis il penetoratio‼」
弾丸のような炎が剣の切っ先から放たれる。弾丸なんて思考が自分の頭に浮かんだことに苦笑しながらも、レイはその炎の銃弾を受ける準備をした。
体が反射的に防御行動を取ろうと動き出す。魔力を放出し、圧縮し固めるイメージの魔法障壁だ。だがそれはすでに破られた。今取るべき行動はそれではない。
「水――いや」
「ほら、ちゃんと防いでくれないと授業になりませんよ!」
魔力に属性を付与、そしてその属性に付帯する効果を精密にコントロールする。そうすれば、今のレイにならばできるはずだ。
「ventus il stratio」
レイの前方に風の膜が展開される。渦巻くその風に触れた瞬間、アドルフの放った炎の弾丸は魔力を失ったように掻き消えた。
「……なっ」
「どうしました? 格の違いを見せてくれるのでは?」
今までのレイ・ホークアイであればまず取らなかっただろう行動に、誰もが目を見開いていた。
「……なめるなよ、半端な魔力しか持たない出来損ないが!」
アドルフの口調が乱暴なものに変わる。
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