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霊斬は静かな声で言い、だらりと下げていた刀を、つかみ直すと、臨戦態勢に入る。
芹野は刀を持ち、待ち構える。
霊斬が刀の間合いまで突っ込む。斜め右から上へと斬り上げる。刀ごと弾き、それは畳に落ちる。ざっくりと斬り裂いたために、鮮血が迸る。腹から右肩の近くまでを斬った。
「っ！ ううっ……」
芹野は痛みに呻いた。額には汗が浮かんでいる。
霊斬は流れるような動作で、刀についた鮮血を払う。
芹野は忌々しげに顔を歪めたものの、立ち上がって、刀を構える。
霊斬が突っ込んでいく。間合いに入るや、刀を繰り出す。芹野も同じように刀を繰り出してくる。
霊斬は痛みに顔を歪めた。
「うっ！」
芹野が痛みに声を上げる。
霊斬は左肩を、芹野は右肩を、互いに刺し貫いていた。
霊斬は無造作に刀を抜く。痛みで動けない芹野を見ながら、左肩に刺さった刀を抜いた。
「お主は……人か？」
身体が相当痛みを訴えているのに、涼しい顔をしている霊斬を見て、芹野が言った。
「ああ、これでもな」
霊斬は冷ややかな声で応じる。芹野からは見えないが、額にびっしりと汗をかいていた。
芹野は、それでもまだ立ち上がる。
「しぶとい奴だな」
「お主こそ」
芹野は言いながら、刀を構える。霊斬は刀を右手に持って、芹野との距離を詰めた。芹野が降り下ろし、霊斬が斬り上げる。刀同士がぶつかり、霊斬が芹野の刀を弾いた。
弾かれたそれは天井近くで回転し、落下。千砂は顔を青くした。
無防備になった芹野の右脚を下から斬り上げた。肉を断つ嫌な音と、鮮血が溢れ出す。
「っ！ うっ……」
芹野は自分の得物を取りにいこうと、ずるずると脚を引き摺る。
その無様な様子を冷ややかに睨みつける霊斬。彼の周りにはいくつかの血溜まりができていた。
芹野が得物をつかんだ瞬間、霊斬が動いた。
芹野に向かって突進し、右脚を斬りつけた。芹野は痛みに堪えながら、刀を突き刺してきた。霊斬はそれを右脇腹に受けた。互いの傷から鮮血が溢れ出す。
互いに息が荒くなっている。
「これで……」
「最後だ」
霊斬の言葉を芹野が引き取って言った。
互いに刀を抜く。霊斬は芹野の右腕を狙い、芹野は霊斬の腹を狙い、刀を同時に振り下ろした。
互いの身体が交錯する。芹野の右腕から鮮血が噴出する。勝ったのは、霊斬だった。
「貴様にはこれから地獄が待っている。身体中の傷は、俺の恨みの塊とでも思え」
霊斬は冷ややかに吐き捨てると、部屋を後にした。
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