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「いいお天気だなぁ 」
雲一つ無い、それでいて薄絹を纏った様な青空を見上げながら、今日は良い日になりそうだと思った。くすんだ柔らかな日差しが優しくて、気持ちが上向きになるのを感じる。
くんっと伸びをすると、外から楽しそうな声が聞こえる。私はベッドから飛び起きて、部屋の窓から外を眺めた。
声の主達は、男女2人づつのグループだった。家の前の坂道を登って来る。
「いいなぁ 」
窓枠に両肘を付いて呟いた。私も身体が弱く無かったら、この家から出て、恋も出来るのかな。
「あれ? もしかして、ウチのお客様? 」
通り過ぎて行ってしまうとおもっていたのに、グループは家の門を入ってきた。久しぶりのお客様に、心がワクワクする。
叩かれるドアに、「やっぱりそうだ!」と、部屋を飛び出し、パタパタと階段を降りた。
「ごめんくださーい 」
玄関のドアが開いて、4人が入って来る。
「はぁい、どうぞお入りください 」
私が出迎えたら、4人はキョロキョロしながら家に上がってきた。
あぁ、嬉しい!おもてなしをしなくっちゃ!
4人とも大学生くらいだろうか。同じ年頃のお客様に、とても楽しい気持ちになる。
私はその中でも、一際背の高い男の子に目が釘付けになった。サラサラの栗色の髪。優しそうで、とても素敵な人だ。
「直ぐにお茶の用意をしますね 」
リビングのドアを開けて、奥のキッチンに行こうとすると、「あっ 」とその男の人が声をあげた。
振り向くと、その人が私の方をジッと見ている。視線が合って、ドキンと心臓が跳ねた。
「どうしたの? ユウト」
ショートボブの女の子が男の子に声を掛ける。
ユウトくんっていうのね。知りたかった名前が分かって、きゃっと心の中ではしゃぐ。
「部屋、写真撮ってもいいかな? 」
ユウトくんが年代物のカメラを構えて、ファインダーを覗く。
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