第一話 空色のクリームソーダ

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 駄目だ。気付いていないふりをするのが一番なのに。 「あそぼう」 「うるさい」 軋む歯の隙間から言葉が漏れる。  うるさい。  うるさい。  うるさい。 魂がこの世に残るのは何か思い残すことがあるからだとか、そんなの俺には関係ない。 「俺はお前らなんて見たくもないんだ」   見たくも無いのに、勝手に見えてしまう。 関わりたくないのに、勝手に寄って来る。   そのせいで、いつも怖がられて。   周りからは、気味が悪いと言われて嘘つき呼ばわりだ。 人の気を引きたいだけの痛い奴。 自分は特別だと思いたい奴。   挙句に言われるのは…… 「鷹取、どうした?」 「さ、桜木さん」   振り返ると、桜木さんが怪訝な顔をして立っていた。 その後ろには更衣室にいた二人も一緒だ。 二人は顔を見合わせ、堪えきれない嘲笑に口元が歪んでいた。 「顔色悪いぞ、大丈夫かよ。誰と喋ってたんだ?」   心配してくれる桜木さんよりも、その後ろの二人の嬉々とした視線が怖い。 みるみる体が縮こまり、口元、指先、足が小刻みに震えだした。
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