238人が本棚に入れています
本棚に追加
オメガ因子を持つのは、ほとんどが女性だ。日本にいる男性オメガは、10人にも満たないと言われている。それくらいに珍しい存在だが、実は男性オメガは男性アルファにとって、単なる美しさ以上の価値がある。
成熟体の男性オメガは、発情期には普段は眠っている卵巣と子宮が活性化し、男性であっても妊娠が可能になる。
男性アルファと男性オメガの間に生まれる子どもは100%アルファとなることが確定していた。しかも、アルファの中のアルファといわれる、何かしら天賦の才を持っている場合が殆どだ。
ある人は学問的な大天才であったり、またある人は時代を象徴する芸術家や卓越した経営者となった。容姿の美しさ以上にそれを期待して、男性オメガを配偶者に望む男性アルファは後を絶たない。
そういう事もあって、アルファとオメガのカップルはたとえ同性同士であろうとも、世間的には全く問題が無い。第二性を優先した関係は、同性愛として白眼視されることはなく、むしろ至高の存在として憧憬される。
それくらいに男性オメガは価値あるものとして認識されていた。
玲の高校時代のスタートは普通に穏やかで、大きな波風が立つことはなかった。
そこまで勉強が得意ではなかった玲は、自宅から通える範囲の中で、自分の成績から見てこんなものかと思う高校を受験した。
最初のコメントを投稿しよう!