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俊吾はそもそもが大柄なので、燃料はたっぷりと必要になる。食べること自体は好きなのだか、自分ひとりとなると、つい疎かにしがちだ。栄養バーを齧って済ませることもある。
だが今日は、せっかく時間があるのだから街の中心まで散歩して、ついでにメシにするのも悪くないかと思い直した。
シャワーで簡単に汗を流し、さっき片付けたばかりの衣類棚のいちばん上から、シャツを取り出して羽織ってみた。さらりとした肌に当てると気持ちが良く、気分が上がる。出掛けに、俊吾は玄関先にある造り付けの姿見に映った自分の姿を見てみた。
髪が多少伸び過ぎでボサボサだ。髭の剃り残しもある。誰と会うわけでもないが、せっかく外出するのだから、もっときちんと整えればよかった。
背が高いのがボーナスポイントなくらいで、全身は年相応。多少くたびれているが、そこまで悪くないと思いたい。
正直、外見は仕方がないかと諦めている。希望を言えば、腹が出ないようにはしたいから、筋トレでもした方がいいかもなとの、自己診断を下した。
俊吾が借りたマンションは勤務先の病院のすぐ近くに建っている。街の中心部からは少し離れた住宅街にあって、この辺りの雰囲気は良好だ。
エレベータの中で一緒になったファミリーの父親は、多分同世代だ。感じの良い人で、俊吾を見て向こうから軽く会釈をしてくれた。連れているお子さんは幼稚園くらいの年齢だろうか。
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