15 日曜日

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 完全に浦島太郎だな。俊吾はそう独り言ちてみた。自分の記憶の中にあった県庁所在地の様子とは、かなり変ってしまった。  人の流れが変わったのか、商店街は以前にもまして人通りが減っていた。車で動き、道幅も広くなった分、人と人との距離も離れたような気がする。整然としているのは清々しいが、俊吾自身は活気のある商店街のような雑な雰囲気の方が、好きだ。  駅まで出ると、結構な人だかりが出来ていた。  何事かと思い覗き込むと、ブラスバンドが演奏の準備をしている。立っている幟を見ると、町おこしのイベントを盛り上げるためのパフォーマンスがあるらしい。全員が椅子に座って指揮者も登場したので、もう始まりそうだ。  腹は減ったが、少し見ていくかと思い、俊吾はバンドを取り囲む集団に並んだ。こういう場合、背の高い俊吾は邪魔になる。だから、いちばん後ろの方に陣取るようにしている。  いきなり演奏が始まった。軽快なポップミュージックに合わせ、観客は身体を動かしたり手拍子を鳴らしている。その場にいる皆が幸せな気分になるような音楽で、聴いていて楽しい。ブラスバンドの学生も、ソロの場面では立ち上がったりするので、本格的なコンサートでも見ているようだ。  1曲目が終わると大きな拍手が響き、すぐ次の曲に変わった。今度はジャズっぽいおしゃれな雰囲気の曲だ。
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