15 日曜日

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 玲の目指した店は、件の武道具店を通り抜けた先の、アーケードの終わり際にあった。俊吾は知らなかったが、この辺りまで来ると、さっきまでとは全く雰囲気が変わる。  古いシャッター店を改装したカラフルな外装の店が、俊吾の目にいくつも入ってくる。サブカルチャーの雑貨を扱うような店があるかと思えば、店の前のベンチに座ってコーヒーを飲むカップルがいたり、自然食品店で店頭に並んだ野菜を選んでいる家族がいて、何やら面白げな様子だ。  俊吾の表情の変化を見て、玲は微かに得意げな表情になった。 「店を持ちたがっている若い人に、商店街のオーナーたちが閉めていた古い店舗を貸し出す機会が増えてきたんだって。だからこの辺りは少しずつだけどシャッターが上がりだして、いろんな店がオープンしてるんだ」 「それは良いことだな」 「これから行くところもそんな店で、うちの卒業生が働いてるんだ。とても感じのいいところだよ」  玲の口ぶりから、俊吾はピンときた。 「ひょっとして、お前の生徒か?」 「よく分かったね。美術室の卒業生、言わば僕と高島君の後輩だね」  玲はそう言うと、黄色く塗られた木のドアを開けた。カラカラと呼び鈴が鳴る。  続いて俊吾は中に入った。瞬間、いきなりスパイスの香りが鼻に飛び込んで来て、ガツンとやられた。だが、空腹を刺激するとても好きな香りだ。
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