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目覚め
「起きた?」
「…………っ!」
目覚めたら眼の前に現れたのは端正な顔立ちの青年でした。
私、小酒井倫子。二十七歳。独身。
正直めちゃくちゃ動揺しています。
それでもうかつに奇声を上げてしまい、相手が感情的になって何をされるかと思うと沈黙が一番の正解かと思ったわけです。
声をかけてきた青年の向こうには青い空が広がっていました。
半分だけ影が落ちどうやら私は外で寝転んでいるようです。
「大丈夫?」
もう一度、青年は訊いてきました。
そういえば私、自宅で晩酌していたと思うのですが。
入社して早数年。連日に続く残業にようやくこぎつけた休みに、小躍りして調子に乗ってアルコールを摂取したまでは覚えているのですよね。
意識ははっきりとしてきましたが、いかんせん置かれた状況が把握できません。
精神的には大丈夫ではなかったので下手に返事をせず、素知らぬ顔で青年を観察してみます。
年齢的には二十代前半ぐらいでしょうか。
私より年下に見えます。
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