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初めに飛び込んできたのは、まるで兎のように透き通った赤い目。それから柔らかそうな白い髪。アルビノでしょうか。染めているのかうっすらと紫がかっています。
それがまた端正な顔立ちによく似合い、思わずうっとりと、いつまでも眺めていたい気持ちにかられます。
服装は全身を布で覆っているので判別はできませんが、細身のようです。
長い前髪を気だるげにかき上げながら、私の反応を待っています。
正直ちょっと厳しそうな雰囲気に委縮しながらも、
「……はぃ……ぃ?」
!
びっくりしました。
自分の声ではなかったからです。
風邪を引いたにしてもここまで変な声にはならないはずです。
まるでボイスチェンジャーのような違和感です。
「意識はあるようだね。怪我とか痛いところはない?」
青年は私の頭部からつま先を一通り見渡し、両目の下を引っ張ったり耳から顎にかけてのリンパ節に触れたりと、医者がする触診のようなことをしました。
どうやら私は倒れていたのでしょう。
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