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鉛を飲んだような重い気持ちで、しばし考えを巡らせます。
この世界、もしくは国、地域には竜の呪いが掛かっている。
どう喩えていいのか。
微量な粒子が舞っている?
花粉のように吸いこむことにより悪影響を及ぼす。
それを回避するには、ソゥラ教に入信し加護を受けるのが最適解だと。
脱会すればその庇護を授かることが出来なくなり、いずれ寿命を全うせずに死に至る。
といったところでしょうか。
私がクゥコさんと出会った場所。竜灰跡場。
あそこは、稀に竜の遺灰が舞い降りてくるという。
その竜灰はあらゆる万能薬になると。
もしそれがあればヤォさんの病気も……。
いまさらになってクゥコさんがいた場所に、意味があったのだと理解しました。
竜灰を探していたつもりが、人の姿、おまけに【竜】入り(仮定)など見つけてしまったら、クゥコさんの心境はいかがなものか。
「クゥコさんはヤォさんを治すために、竜灰を探してるんですね」
「――まぁな。あぁいう見た目だから、探索しに来た輩に捕まったりしないかと心配だ」
ですよね。
そのせいもあるのかクゥコさん自身、危機管理能力はしっかりしているようですが。
山賊ぶち抜きましたし。
「俺のために危険な目にあってほしくない」
「…………!」
ついテーブルをバンと叩きつけるような衝動にかられました。
もちろん、気持ちだけですが。
ヤォさんの言いたいことは理解出来ます。
そしてクゥコさんがしたいことも。
お互いが想い合う気持ちは、純粋なほどに分かります。
だからこそあえて言わせていただきたい。
「失礼ながら私の国では、買わない後悔より、買った後悔というものがあります。ヤォさんはクゥコさんの気持ちを知っているんですよね。それを制止するのはいかがなものかと?」
「そういうがな、嬢ちゃん」
言い渋るヤォさんの口を割って私は続けます。
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