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「私は雇ってもらうのですから、ヤォさんには長生きしてもらわなくちゃ困ります! それにクゥコさんだって生きる意味を失くしてしまったら、また……ソゥラ教に逆戻りしてしまうのではないんですか?」
正直、地雷かなとは思いましたよ。
それにせっかくの働き口を、無下にされては路頭に迷います。
だからこそ、卑怯ですがクゥコさんの名前は出させて頂きました。
だいたい、可能性があるのに諦めてしまうなんて。せっかくクゥコさんを連れ出したのに。
ピリついた空気が部屋を漂います。
「…………」
「……はぁ」
私の想いが届いたのか、ヤォさんは深い溜息を吐きました。
「そう、だな。嬢ちゃんに出会えたこと自体、何かの奇跡かもしれないしな。とりあえず、今言ったことは胸に収めてくれ」
「はい。でも私、クゥコさんの味方ですから」
にっこりと、気が変わらないように釘を刺します。
「はは。まいったな嬢ちゃん」
ああ、良かった。一時はどうなるものかと。
少しだけピリついた空気をどうにか回復せねばと、話を振るにしても話題が少なすぎます。
ただクゥコさんのいない間に、どうしても聞いておかねばならないことがありました。
「あの、私って人形なんですよね。そのどんな顔なのでしょう?」
どうしても諦めきれなかったようです。
「うぅん、あいつが好きそうな顔だよ」
「そうなんですか」
苦虫をかむような渋い顔つきで、ヤォさんが言い放ちます。
この時私は浮かれておりました。
ヤォさんと私で共通する人物が、一人しかいませんでしたもので。
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