ひとりぼっちの竜が眠る場所

違和感

「おー可愛いじゃん」
「良かったね。まともに見える」

　ヤォさんの反応に素直に喜び、どういう意味ですか？　とクゥコさんの反応にモヤっとします。

「食器は広場で、洗濯は外の井戸で汲んできて――」

　元の世界では蛇口を捻ればいくらでも飲める水が出てきましたが、こちらではインフラがあまり整備されてないようです。
　食洗器もなければ洗濯機もありません。手洗いです。

　台所には蛇口があったものの、飲み水は買うシステムのようです。
　浄化石(じょうかせき)の入った給水タンクに補給される仕様とのこと。
　こちらは煮沸しなくても飲めるようです。

　ただ食器や洗濯は節約のため、共同の外にある井戸で洗うことが一般的とのこと。
　もちろんお金に余裕がある場合は、家で洗っているらしいですが。
　井戸で洗ったものは最後に一度、家の水ですすぐとか。

　確かにミネラルウォーターで食器を洗うのは、もったいなさを感じますから、こちらでは常識なのでしょう。
　あぁ、ラップとかあれば皿に敷いて洗わないで済むのに。

　そんなこんなで、桶に食べ終わった食器とカトラリーを詰めて広場の洗い場に向かいます。
　行けばわかるとクゥコさんに冷たくあしらわれて、心の中でさめざめとしています。
　もっとも服を用意してもらったので、それ以上ワガママを強(し)いることは出来ません。
　この後洗濯もしに行かなくては……。
　ちなみにヤォさんは外に出ると咳き込んでしまうので、部屋で休んでいます。

　まぁ、私も精神的にはいい大人ですし、行けばどうにかなるでしょう。
　ただ、改めて子供の姿。身長的に十歳未満という感じでしょうか。
　そのせいで、なんでも物が大きく感じてしまい、幅感が掴めませんし、高さも届きにくいのがネックなのですが。

　土地勘のない場所で不安はありましたが、とりあえず教えてもらった道順に進みます。

　人気はあまりなく、すれ違ったのは年老いたお婆さんのみ。一人出歩く子供姿の私を気にしないあたり、街の中の治安はそれほど悪くないのでしょう。