来訪者②

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「保護していただいたのが我が君で幸いでした。もしソゥラに捕まっていたらと思うと、(はらわた)が煮えくりかえるところであります!」 「呪術使いのアイツ、ねちっこいからなぁ」  ヤォさんの口ぶりに、どうにも共通で因縁のある方がいらっしゃるようで。 「ただ、地上に落ちた際に【視覚】が切断されてしまい、再び接続しようとしたところ、断線されてしまいまして」 「それは悪かったね。調べた時に君の印があったから、もしやとは思ったけど、下手に別のモノが入り込んで利用されるのもと思ったから、万全を期してね」 「いいえ、最善の判断でございます。それにクゥコ様から久方ぶりの一報に胸が(おど)る気持ちでありました」  私なりに解釈しますと、スマホのようなもの、でしょうか。  下手にハッキング(使用)されるよりかは、機内モードにして通信を遮断するとか?  人形には作り主の刻印があるのでしょう。  そしてクゥコさんはそれを知って、ひっそりとヘィセさんに連絡を取ったと。 「あの、この人形は遠隔操作が出来るものなのですか?」 「無論。なにより吾輩は外気に触れるのが、ことごとく嫌であるからな」 「地下がお前の住処だもんな」  ヤォさんがチャチャを入れます。  それを無視しながら、 「ただ、どうしてもいまだに不安定なところがありましてな。それを補うために、【眼】の併用が常でして」  すぅっと微かな羽音をさせて、白いフクロウがヘィセさんの肩に止まりました。  まるで腹話術人形のように、白フクロウが喋ります。 「コチラノ方ガ、主力(しゅりょく)デアリマス」  意志を持つようにペコリとお辞儀します。 「もしかして二つ併用して操作してるんですか?」 「マァ、ソウデスナ」 「それってすごいですね!」  素直に感心すると、フフンと白フクロウが心なしか得意げな顔をします。  けれど武闘派のヤォさんからすれば、至極当たり前の仕様なのか、 「そうなのか? 多角的に視覚を共有するのは初歩的なことなんじゃないの?」  あまり共感してもらえないようです。 「ふん、万年脳筋の貴様に言われたくないわ。吾輩の生き方に共感してくれる者もいるのだ!」 「のうきんって?」  聞きなれないワードを私に訊いてきます。       ヘィセさんは揶揄して言っていることは確かなので、私は言葉を選んで回答します。 「えっと、元気な人ってことです」 「そっかー」  にっこりと目尻にシワを刻んで無邪気に笑うので、これ以上補足するのはやめておきましょう。
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