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通された部屋はヘィセさんの私室なのか広く、ゆったりとしたソファがL字に並べられており、各々に座っていきます。
右端から、ハィセさん、ヘィセさん、私を抱えたヤォさんにクゥコさん。
にしてもハィセさんとヘィセさん。名前が似ていて混乱しますね。なにか良い方法がないのでしょうか。
「嬢ちゃん軽いなぁ。でも身体はヒンヤリしてる。大丈夫か? 角は立派だし爪はこんなに鋭くてカッコいいな♪」
さりげなく手をにぎにぎとされてしまい、思わずドギマギしてしまいます。
「ズルいぞ、ヤォ! 我輩とて身体の隅まで調べ上げて実験して解剖したい!」
「…………」
最後の一言さえなければ、ヘィセさんは良い人だと思うんですけどね。まぁ、天才肌の方は思考が凡人とは違うのでしょうが。
(……ひっ……!)
ヤォさんに持ち上げられて好きに身体を触られていると、肩越しからクゥコさんの邪念に染まる顔が眼に映ってしまいました。
そうですよね。
クゥコさんからしたら、ヤォさんが私に興味を持っているなど、実際面白くないというのが本音でしょうし。
これ以上非難的な視線が怖くて顔を背け、反対側の方に向き直すと、今度はヘィセさんの肩越しにハィセさんの興味のない面白くない表情が浮かびます。
マズイです!
これは双方を敵に回している気がします。
とにかく、ここは。
ジタバタしてヤォさんの腕から逃れて、一人でソファに飛び降ります。
私は誰にも波風立てず、平穏にこの世界を暮らしていきたいのです。
「あぁ! 今度は我輩がっ!」
「――ヘィちゃん」
私を抱き上げようとしたヘィセさんの行動を、ハィセさんが制しました。
それは私に迷惑が、というより、イチャイチャするなと言わんばかりの低い声音です。
「あー、おほん。これは失礼致しました」
ヘィセさんが落ち着きを取り戻して丁度良い間が出来たので、改めて皆さんに向けてお礼を述べます。
「お礼を言うのが遅れてしまいましたが、皆さま本当に助けていただきありがとうございます。――それから私の名前はリンと申します」
全体を見渡し、最後にヘィセさんに目線を合わせると謎の効果があったのか、彼は紅潮させて黄色い歓声を上げます。
「あぁあああ。リン殿! 我が君と同じ白き鱗に紅い瞳。う、うう美しい! いえ、リューもまた別の次元で可愛らしいのですが」
「そうだな。兄ちゃんと色合いも姿形も違うよな」
ポンと背後からヤォさんが頭部を撫でつけられて、おや、となります。
聞きなれない初めての固有名詞に首を傾げます。
リュー? 兄ちゃん?
この場所で当てはまるのは私と同じ――。
彷徨う視線の先に、メイド姿のハィセさん。
「ああ僕、元の名は、長谷竜二ってーの」
「ええええっ!?」
突然の告白に驚きを隠せません。
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