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下山
***
昔々、一匹の竜が地上に迷い込みました。
天空に戻れない竜が嘆き悲しんでいたところ、一人の少女に出会います。
少女は歌を歌い竜の悲しみを癒しました。
ふたりは花畑に囲まれしばらく楽しく暮らしていたところ、少女は不治の病にかかってしまいます。
またしてもひとりになってしまうのかと竜は少女のために涙を流しました。
竜の涙が少女に触れるとたちまち病は治っていきました。
その後、探しに来た仲間の竜とともに天空に還っていった竜を称え、少女は各地に話を広めていきました。
そうして竜の噂は伝聞し、大きな組織が生まれ、竜を崇める教団が設立されたのでした。
***
というのがこの世界の礎のようです。
なるほど。竜は存在するけれど目撃することは相当珍しいようです。ましてや遺灰なり竜骨を手に入れることは人々からすれば、不病を約束されたようなものだそうです。
稀に入手したとて高値で売買されるようで。
とはいえたいがいは偽物であるため効果のほどはないとのこと。
まるで河童のミイラや人魚の肉のようで、眉唾なのでしょう。
先を歩くクゥコさんに、機嫌を損ねない程度に質問し得た情報です。
クゥコさんは街で何でも屋さんの助手をしているとか。
彼は薬学に優れているため、奇跡のような万能薬である遺灰を手に入れたい一人のようです。
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