1.途切れた春の先

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1.途切れた春の先

 思い浮かぶのはいつも春だった。  夏も秋も冬も一緒にいたのに。  桜を見ることは一度もなかったのに。  ――朝陽ならわかってくれる。  刻まれた言葉が何度でも痛みを鳴らす。  俺は今も、途切れた春の先を、探しているのかもしれない。
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