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彼がデートの終わりに真剣な眼差しで私に言った。彼とは十代の頃から付き合ってもう七年になる。
「俺、実は魔法使いなんだ!」
「急にどうしたの? 魔法使いって何?」
彼が遠くを見つめながらゆっくり呟いた。
「今まで黙っていてごめんな。俺は魔法が使えるんだ」
「何の冗談?」
彼がこんな冗談を言う人ではないとわかっていた。もう長年付き合ってきたから。でも彼の表情は真剣そのものだった。
私は興味本位で彼に聞いた。
「どんな魔法が使えるの?」
彼はよくぞ聞いてくれたという面持ちで答えた。
「人を幸せにする魔法!」
「具体的にどんなことができるの?」
彼が白い歯を見せて嬉しそうに笑うと私を強く強く抱きしめた。私は突然のことに驚いて頬を赤らめた。
「俺と結婚してください。必ず幸せにすると誓います。俺の魔法にかかってください!」
私はとても小さな声で、でも心を込めて短く答えた。
「はい!」
彼は本当に人を幸せにする正真正銘の魔法使いだった。
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