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話し合いに集まった人たちがみんなエレナに注目します。
エレナは言葉を出しにくい特性に緊張も加わったため、立ち尽くしてしまいました。いつも以上に沈黙の時間が続きます。
視線を泳がせ、深呼吸をし、口を開いてみますが、言葉が出ません。
ふと視線を感じて横を見ると、そこにはウィルが優しく穏やかな表情で立っており、『大丈夫だよ』というように大きくうなずきました。
「…………わ、たしは、この自然豊かで美しいアステルが大好きです。ずっとここでみんなと暮らしたい。……でも、今のままでは人が減っていって暮らせなくなるかもしれません。だから、ウィルさんに支援をお願いしました。…………ウィル、さんは、誠実で信頼できる方です。きっと村をいい方向に導いてくれると思います。……だから、村長さん、ウィルさんの支援を受け入れてください」
エレナは村長に向かい、深く頭を下げました。それを見たウィルも、一緒に頭を下げました。
話し合いの場にパンパンと大きく手をたたく音が響きました。
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