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「二人とも、顔をあげなさい」
初めて村長が口を開きました。
「参ったね。エレナにここまで言われちゃ……。私だって、エレナと同じ気持ちだよ。この村を大切に思っている。けどな、大切に思っているからこそ、急に現れた若造の言うことをおいそれと受け入れることはできなかったんだ。ウィル君、キミの頑張りはしっかりと見させてもらったよ。まったく都会の男だとバカにしていたが、結構根性あるじゃないか。キミと一緒に村を良くしていきたいのだが、支援をお願いできるかい?」
「もちろんです。村長」
村長が差し出した手をウィルが握って握手をすると、「わあ!」と村人たちの歓喜の声があがりました。
エレナのもとには、子供たちが集まります。
「また願い謡を歌ってくれる?」
「願い謡、覚えたいの。教えてエレナ!」
「私も!」
「私も!」
口々に話す子供たちに困惑しつつ、エレナは笑顔でうなずきました。
エレナがウィルの方を見ると、ウィルもエレナを見ていました。二人は安堵の笑みを浮かべ笑いあうのでした。
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