セイレナの願い謡

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 エレナの家は、燃えているところを村人が見つけましたが、全焼してしまいました。  火をつけた人物は捕まり、罰を受けることになりました。  エレナですが、その晩はジルがエレナを自宅に誘っていたため、火傷(やけど)ひとつなく無事でした。しかし住む場所を失ってしまったので、エレナはジルの家で同居することになりました。  さまざまな出来事があったせいで、漁村の雰囲気は最悪の状態でした。エレナが歌うことをやめ、静まり返った村はまるで廃村のようでした。    四季が巡り、ヒューゴが海に消えて一年がたちました。  エレナはジルと一緒に、花を手向けに海へ向かいました。歩きながら村の様子を見てみると、漁師をする人が減ったり村を出てしまった人がいたりで、漁村は以前の活気を失っていました。 「…………い、まの状態が続くと、村はどうなってしまうのかしら?」    海で、エレナが村の今後を憂えてジルに問いかけました。 「そうねぇ、このまま人が減り続けると……廃村もありえるかも」 「……いや、です。廃村なんて。私は、家族と過ごしたこの美しい村を残したい」  悲観しうつむくエレナに、ジルは明るく彼女に言いました。 「エレナ、安心して。もうすぐ救世主が現れるから!」
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