セイレナの願い謡

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「あの村長、手ごわくない?」  支援の申し出をしに村長の家に行っていたウィルが、落ち込んだ様子で帰ってきました。 「多少の予想はしてたけど。私が食堂を開店するときも大変だったし」 「姉さん! だったら先に言っておいてよ~」 「私が女だから、だと思ったのよ」 「よそ者は寄せつけない感じだったよ。『いい服を着た都会の若造が、村のことを何も知らないくせに何ができるんだ! どうせ、自分だけ金(もう)けするつもりだろう』なんて言われたよ」  ウィルが大きくため息をつきました。 「…………あ、あの」 「どうしたの? エレナ」 「…………ウィル、さんが、村にしばらく住んで、みんなの仕事を手伝うのはどうでしょう? ……村のことを知れば、村長さんも変わるかもしれません」 「そうね、一理あるわ。ウィル、ここに住んでいいから、しっかり働いて村のみんなに認められてちょうだい」 「……わかった。僕にもプライドがあるからね。やってやる!」  (こぶし)を握り締めて、ウィルは決意しました。
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