セイレナの願い謡

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 ウィルは、漁業と農業の手伝いをさせてもらいながら、自分が村の支援をしにきたことを村人に話しました。村の市場にも顔を出し、みんなと交流を深めて支援の必要性を説いて回りました。  あちこちに顔を出し、賛同者を着実に増やしたウィルですが、慣れない力仕事に体が悲鳴をあげていました。 「体が筋肉痛だよ……」  弱々しくつぶやき横になっているウィルに、エレナが近づきました。 「…………ウィル、さん。大丈夫ですか?」 「エレナさん。はは、こんな姿を見られてしまって、情けない」 「…………いいえ。とても頑張ってくれて感謝しています。これ……蜂蜜レモン水です。筋肉痛に効くので」 「ありがとう。エレナさんが作ったなら即効性がありそうだ」  一緒に生活するようになり、エレナとウィルの関係はぐっと近づきました。  優しく行動力のあるウィルに、エレナは尊敬と憧れの気持ちを抱くようになりました。  村長と話をしてから半年ほどがたちました。  コツコツと村人の信頼を集めたウィルは、村長をはじめ、村人を集めた話し合いを設けました。
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