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グレイが部屋から去り、エメは床につく前、久しぶりに自分のトランクからコレクションの鉱石を取り出した。
宝石よりも装飾価値の低い鉱石を見るのも好きだ。
それと小さな巾着袋に入れた宝石の破片も大事なコレクションだ。
父がカットした破片で商品価値はないので、父から研磨を教わり、自分のコレクションにしたのだ。
ピンクのルビーは比較的に紅いルビーよりランクが低いがこれが一番好きな宝石だ。
本当ならば密かに台座をデザインして理想の婚約指輪にしたいと自分の中で願っている。
妃から受け渡されるのは指輪ではなくティアラだが
結婚式に華を沿える宝石には誰かしらの想いが込められているのだ。
まさかグレイ様があの紳士とは思わなかったので今日は実に感情がいろんな方向に動く一日だったなと思った。
(グレイ様のあの感謝しているの言葉は本当にそれだけの意味かしら)
熱っぽく言われたから急に頬が熱くなり、妙にそれ以外に意味があるのかもと期待してしまった。
(いけない、私は庶民だ!立場が違うのよ)
それに早くティアラの宝石を探し当てなければならない。
妃は「あの石は光に当てると桃色が変わった」と言っていた。
ふと、頭を働かす。
「そうだ!」
宝石に心当たりがあったのだ。
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