第十五章 記憶

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第十五章 記憶

ーーー姉さん?  彼は雑誌を手に取るとページを捲り、記事の写真の部分を指差した。  女性レポーターが覗き込む。 「ああ、火事の犠牲者、天野夢香さんの事ですね」  ?!  身体が氷のように冷たくなった。 「ええ。もう一度姉さんに会って話がしたかったんです」 『痛い!!』  夢香が頭を抑え悲鳴を上げた。  その瞬間、管理人の身体が炭のように真っ黒になった。  振り向くと栞里も燃えて焼け爛れた顔になった。  夢香はふらつきながら後退りをする。  姿見にぶつかり振り向くと、鏡の中の自分の頭から血が垂れているのが見えた。  レポーターが話を続けた。 「管理人の中村さんや伊崎栞里さんなど、住民全員遺体で発見され、夢香さんはマンション5階から飛び降りて死亡。10年前の痛ましい事故でした」
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