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第二章 事故物件
アパートの前にゴミ収集車が止まっていた。
壁には『月、木は燃えるゴミ』と書いている看板がある。
何の気無しにそこにあった雑誌に目をやった。
雑誌は真ん中辺りから開いており、そこには『怪奇特集』と書いてあった。
今から10年前に火災があり住民が多数亡くなった幽霊マンションの記事だった。
雑誌に載っているマンションの外観写真はどうみてもこのマンションだった。
『何これ?』
管理人の「中村 治(ナカムラ オサム)」が庭を掃除していた。
夢香は管理人に歩み寄り、
『管理人さん、コレって本当なんですか?
事故物件だなんて聞いてないんですけど』
と詰め寄った。
管理人は仏頂面をさらに仏頂面にして、
『10年前?このアパートは建てたばかりだ。
退職金を注ぎ込んで、借金して建てた、私の夢の詰まった城なんだ。
変な噂を立てないでくれ』
と取り合わない。
『幽霊なんて馬鹿な事を言ってないで、早く家賃を払ってくれ』
と逆に言われてしまった。
それを言われては何も言えない。
支払い期限は過ぎているが、給料日まで待ってもらっているのだ。
早々にその場から離れるとエントランスに入り管理人室を通ってエレベーターを待つ。
管理人室には見知らぬ若い男がいた。
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