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第五章 ルームメイト
窓の鍵とドアの鍵を確認したが、しっかりと施錠されており問題は無かった。
取られたものも何もないように見えた。
とりあえず財布のお金は一円も減っていない。
寝ぼけていたのかと思ったが、思い出すだけで身体が震え、夢とも思えない。
変質者か泥棒か分からないけど無事で良かった。
ドアを開けて鍵がちゃんと閉まるか何度も確認していたら隣の栞里が声をかけて来た。
『どうしたの?鍵、壊れたの?』
栞里は昨日の話を頷きながら聞いていた。
『合鍵とか誰にも渡してないんでしょう?』
『来たばかりだし、こっちに友達はいないし。部屋を間違えて入って来るなんて言うのも鍵が合うはずがないから違うし』
『じゃあ、前の住人が合鍵を持っていて入って来たとか?私が管理人に鍵変えてくれたか確認してあげる。私は確認してるから多分大丈夫だと思うけど』
『じゃあ、なんだろう?』
栞里はしばらく考えていたが、顔を近づけて低い声で言った。
『幽霊‥‥じゃない?』
『えええっ?!』
昨日見た雑誌が頭に浮かんで鳥肌が立った。
思いっきり首を振って否定したが、あの管理人なら嘘をつきかねないと不安になる。
その後栞里が管理人に確認して、鍵は契約が決まり次第業者に頼んで変えて貰っていると分かった。
ちなみに事故物件の件を聞いて貰ったがやはり否定されたようだ。
もはや幽霊しかないでしょうと栞里が脅かすものだから夢香は布団を被ったまま動けなくなる。
確かに安いとは思っていた。
でも安さに目が眩みここに決めてしまった。
『もう遅いよ‥‥』
引っ越しに全財産を使い果たしていた現在の状況ではなす術がなく、そうでない事を祈りつつベットの下に隠れた。
新しい生活が幽霊(ルームメイト)との共同生活なんて。
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