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5:44 PM
ソラは自分の真上を通過していったオスプレイが、無事に硫黄島基地に着陸したのを見届けると、それと同時に自分も護衛艦から下船し、着陸したオスプレイの元へと駆けていった。
「先輩! コノハ大尉!」
やがて硫黄島基地に駐機されたオスプレイの下にたどり着いたソラは、機体の横で自機を眺めている一人の女性の下に駆け寄り、声をかけた。
「ああ久しぶり。元気でしたか? ナギノ中尉」
息を切らしながら自分の下に駆け寄ってくるソラを見て、少しだけ苦笑いを浮かべながら彼女の事をを受け入れたのは、ソラが出雲型護衛艦に配属される前に所属していた基地で、姉のように慕っていた女性だった。
彼女の名はメグミ・コノハ。
自衛隊における階級は、ソラより一つ上の大尉である。
「ソラ、貴方は変わりませんね? そんなに急がなくても、私はどこにも行きませんから」
全力で走ってきた勢いそのままにメグミに飛びついたソラを抱きかかえながら、少し困ったような笑顔を浮かべているコノハ大尉だったが、元々控えめな性格の彼女がその様に微笑むと、彼女の童顔な容姿がより一層引き立ち、ソラはそんなメグミの顔をニヤニヤしながら覗き込むのが大好きだった。
そんなソラ達が離れ離れになったのは、本来ヘリコプター輸送艦として開発された出雲型と加賀型が、垂直離着陸能力を持った戦闘機を搭載出来るように改修された時の事だった。
まるでアイドルのような童顔の持ち主であるメグミは、一見するとモデルのような容姿をしたソラと同年代に見えるが、実はメグミの方ソラより5歳程年上であり、そんなメグミの容姿について、ソラは顔を合わせる度に羨ましがっては、誰よりもメグミを慕っていた。
「それにしてもメグミさん、どうしてこの基地に来たんですか? 合同演習の参加予定リストの中に、オスプレイは含まれていなかったと思うんだけど?」
ソラは先程アイカにしたのと同じ質問を、この基地にオスプレイで飛来したメグミに直接聞くと、メグミは合同演習とは全く別の目的でこの基地に転属になったのだと答えた。
だが、いわば日本列島最南端を防衛するために作られた硫黄島基地に、攻撃能力を持たないオスプレイが配属になった理由が分からず、ソラは再び首を捻った。
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