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私は親友フーコの引っ越しの荷造りを手伝ってるの。今は雑誌とか小物とかの仕分け中。
フーコは別の部屋で仕事関係の物の仕分けをしてる。
そんな中、私があるクローゼットを開けたら直径20センチくらいの丸いクッキー缶が目に入った。
蓋に『幸せコレクション』とフーコが手書きした紙が貼ってある。
うわぁ懐かしい!
私たちは三十路近い今も「ミコ」「フーコ」と呼び合う幼なじみなんだけど、子供の頃よく見せてくれた缶だ。
フーコの父親はまともに働かずに昼間から酒を飲んでいるようなロクデナシだった。
フーコも母親も暴力を振るわれていたみたい。
母親は元々病弱なことと暴力からフーコを守るため充分に働けず、経済的にとても厳しい家庭だった。
そんな苦労の幼少期を送った影響でフーコはお金をかけずに楽しめて、いずれお金持ちになれる遊びに没頭していったんだって。
それが「縁起が良い」とか「幸せになれる」と言われるモノを集めること。
「縁起が良い」とか「幸せ」とは、貧しかったフーコにとって「お金に不自由しないこと」と同義だった。
私はついついクッキー缶を開けた。
そしたら昔見せてもらった時よりたくさんの「縁起物」が詰まってた。
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