君の曲が私に届くまで、

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 その文章たちを見ていると尚更誰のものか気になり、下の方まで読み進めていく。  途中にも“雪月花”や“蜃気楼”、“恋衣”といったたくさんの綺麗な響きの言葉が目に入る。  なんだか、言葉選びがAOさんみたいだな……。  そんなわけないのに、思い出されるのはAOさんの青い空を連想させる爽やかな曲調。  ……そういえばAOさん、今日の夕方に新曲のサビだけ公開するって言ってたような……ふふっ、楽しみ。 「え……?」  一番下まで視線を動かした途端、はっと目を見開いた。  ……この名前、って。  思わず動きが止まり、小さく声が洩れる。  “三雲碧”  プリントの端っこには、そう書いてあった。  三雲君、こんなに綺麗な文章書くんだ……すっごく素敵。  普段仏頂面していて、何を考えているか分からない彼が、こんなにも甘酸っぱい言葉を紡いでいる。その事実に感嘆の息を洩らしてしまう。
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