君の曲が私に届くまで、

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 よ、よし……聞くぞ!  そう意を決して、再生ボタンに指先を重ねる。  自然と目を瞑り、一音も逃すまいと聞き入り体勢に入った。  その瞬間、流れ込んできたのは涼やかな音色。その上に乗せられる歌詞はどこかひんやりとしていて、でも温かみが抜けていなくて……。 「……、これって。」  “雪月花のように”  “朧げな君はまるで蜃気楼”  再生ボタンを止めないまま、ぐっと引き込まれる。  世界観が期待していたものを上回ってきた……のもあるけど、やっぱり頭によぎるのは、見た事のある言葉の羅列で。  この歌詞、私が放課後見たものと……同じ?  雪月花も蜃気楼も、書こうと思わなければ書かない。思おうと思わなければ、考えるはずもない言葉だ。  あのプリントに書いてあった、一言一句同じ文字に……ぶわっと鳥肌が立つ。
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