君の曲が私に届くまで、

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 心の中で、ラノさんの言葉にうんうんと頷く。  私だって、もしAOさんがリアルイベントするとなったら何が何でも飛んで行くと思う。  ちなみに、この画面の先にいるのはネット友達のラノさん。  顔も本名も、どんな姿をしているのかも知らない。それはラノさんも同様だ。  ……それでも偶然、AOさんのファンという共通点でここまで仲良くなれた。話を聞くにラノさんは成人済みらしいし、AOさんはやっぱり凄いや。 《そういえばそぞらちゃん、私気になった事があるんだけどね。》 「? どうしたんですか?」 《いやぁ、AOさんってめちゃくちゃ恋愛とか青春を題材にした、あたしら大人にはない甘酸っぱーい感じの曲作ってるじゃん? そぞらちゃん高校二年生でしょ? AOさんの曲から何か共感する部分とかあるんじゃないの〜?》  あ、これラノさんからかいモードに入ってるかも……。  画面から聞こえてくる少し上ずった声ですぐに分かった。  ラノさんはこうやって時々、私の恋愛事情を知りたいのか遠回しに尋ねてくるところがある。  そういう時、私は決まってこう言うんだ。
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