君の曲が私に届くまで、

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 確か、去年の今頃だったかな。 『あっ、三雲君……! イヤホン落として――』  その時に微かに聞こえた、耳に馴染んだ曲調。間違えるはずのない歌詞に、私は瞬時に確信を持った。 『っ、三雲君もAOさんのファンなの……!?』 『……まぁ。』 『ほんと!? AOさんってほんっとーに凄い人だよね!? どの曲も強い思いがこもってるのが分かって、旋律が綺麗で……! 私ね【恋水(なみだ)色の飴】っていう曲が好きなの! 三雲君はどの曲が推し?』 『……楚空さんって、すごくAOのことが好きなんだね。』 『うんっ! 私、いつか直接AOさんに会ってこうやって感想伝えたいんだよね。……無理なお願いなのは、分かってるけどね。』  最初、三雲君は私の勢いに引いたかな……って思っていた。引かれても仕方のない事だと知ってたから。  けど三雲くんはそのままAOさんへの熱を聞いてくれて、相槌を打ってくれていた。
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