君の曲が私に届くまで、

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 そんなある日の事、私は現代文の課題を整理していた。  国語係だから仕方ないって言えば仕方ないんだけど、ちょっとめんどくさいなぁ……なんて。  あーだこーだ言っても変わらないから、いそいそと出席番号順に並べていく。  そんな時、誰かのノートから一枚のA4プリント用紙が落ちてしまった。  挟んでたのかなぁ。失くしちゃダメだから、ちゃんと拾っておかないと。  どうやらそのプリントはこの前の現代文で配られた問題用紙だったらしく、数問基礎が書いてあるものだった。  ええっと、このプリントが落ちたのは……。  プリントに名前が書いていないかなと思い、裏も見て確認してみる。 「あれ……? これって……」  と同時に、私の視界に飛び込んできたのは――たくさんの文章だった。  一見脈絡がなさそうだけど、どの言葉も流れるように綺麗。  まるで歌詞みたいで、朧気ながらも伴奏が浮かんでくるよう。  すごく……惹かれる文章だ。
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