5 銀杏黄葉

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「あ、あのね。窒息するからね!?」  普通の犬より大きいことを忘れないで欲しい。 「手当てしてた」 「あー、なるほど。手を当てるから手当てねって、犬の場合は足でしょ!?」 「手だよ」  どこからどうみても、手には見えない。  犬の姿の現比は癒しなのだけど、本当に犬である!  ――むしろ、ブラッシングしたくなるわ。  私の部屋に勝手に入ってきたのに、犬の現比には甘くなてしまう。  怒るのも忘れ、ふわふわの白い毛をなでた。 「立栞」 「なに?」 「芋ようかんを作ろう。友達から、さつまいもをもらったんだ」   『どこの友達からのさつまいもですか?』と、怖くて聞けなかった。 「ちょっと今日は……」 「わかってる。大丈夫」  ぽんっと肉球を私の額にあてた。  お風呂に入ってあたたまった時のようなぬくもりがあった。  手当てしていると言ったのは本当だったのか、さっきまで重かった体がスッと軽くなった。 「立栞は起きれる。先に下で準備してる」 「いったいなにを……?」  私の体調がわかるのか、現比はひらりと尻尾をなびかせて、部屋から出ていった。
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