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「あ、あのね。窒息するからね!?」
普通の犬より大きいことを忘れないで欲しい。
「手当てしてた」
「あー、なるほど。手を当てるから手当てねって、犬の場合は足でしょ!?」
「手だよ」
どこからどうみても、手には見えない。
犬の姿の現比は癒しなのだけど、本当に犬である!
――むしろ、ブラッシングしたくなるわ。
私の部屋に勝手に入ってきたのに、犬の現比には甘くなてしまう。
怒るのも忘れ、ふわふわの白い毛をなでた。
「立栞」
「なに?」
「芋ようかんを作ろう。友達から、さつまいもをもらったんだ」
『どこの友達からのさつまいもですか?』と、怖くて聞けなかった。
「ちょっと今日は……」
「わかってる。大丈夫」
ぽんっと肉球を私の額にあてた。
お風呂に入ってあたたまった時のようなぬくもりがあった。
手当てしていると言ったのは本当だったのか、さっきまで重かった体がスッと軽くなった。
「立栞は起きれる。先に下で準備してる」
「いったいなにを……?」
私の体調がわかるのか、現比はひらりと尻尾をなびかせて、部屋から出ていった。
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