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祖父が私によく言っていた言葉だ。
まるで祖父が仕向けたかのように、自然な流れで私が住むことになった。
ちょうど仕事を辞めたタイミングだったのも不思議だ。
――ううん。不思議なんかじゃない。おじいちゃんは私が仕事で悩んでいたことを知っていた。
もしかしたら、この鬱々とした生活から抜け出せるかもしれない。
苦しいばかりだった心の中に生まれたかすかな希望。
冷たいだけだった秋風が、私の背中を押したような気がした。
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