3 怪しい男

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 なんて恐ろしい狛犬!  油断していたら、私の恥ずかしい過去を暴いてきた。  祖父を頼って、一緒にチョコレートを作ったのは小学生の頃で、それこそ、さっきの彩友ちゃんと同じくらいの年齢だ。  なお、片想い相手にフラれた後、泣きながらチョコレートを食べた。 「あのね……。少しは自分のことも話してくれないと、完全に不審者よ?」  父から家の管理を頼まれた身としては、家主不在のうちに住みだした怪しい男性を信用するわけにはいかなかった。 「だから、狛犬だって。なんなら、もっと……」 「ま、待った! 待ったぁー! 私のことはいいのよ!」  これ以上、過去の恥、黒歴史を他人の口から語られるのは、心身ともにダメージがでかい。  焦る私に、自称狛犬はわかったよとうなずいた。 「狛犬でもいいのに。でも、彪助からもらった名前がある。その名前であまり呼ばれたことないけど」 「狛犬って、人前で呼べないでしょ」 「そう? この辺の人たちは俺のことを狛犬様って呼ぶよ」  あくまで自分は狛犬だと主張してくる。 「名前を教えてください」  名前くらいは知っておきたい。
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