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「なれるよ。でも、力を使うと疲れるから、夜に店を開けられなくなる」
力を温存するため、昼間は極力眠ることにしているらしい。
そこまで言って、眠さがピークに達したのか、むくっと起き上がり、のろのろ歩きながら、日当たりのいい縁側へ移動する。
体を丸め、本格的に眠りだした。
あそこがいつもの定位置らしい。
――もしかして、私が出ていかないよう玄関を塞いでいた?
私が帰ってくるのを確認したからか、安心して眠っている気がした。
白い毛並みをとろんとした蜂蜜色の光が照らしている。
秋の日差しは優しい。
眺めていると私まで眠くなり、体が暖かくなってくる。
一緒に眠ったら、きっと居心地が――いや、それはやめておこう。
「昨日みたいに不埒な現場になるわ」
我に返り、買い物リストを手に外に出る。
いつものように、竹林の小道の途中にある神社に手を合わせた。
――うちにあなたの狛犬様が住んでます。
狛犬がいなくて困っているかもしれないので、念のため、神様に居場所を報告しておいた。
まあ、きっと知っているだろうけど、寛大な神様である。
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