5 祖父の後継者

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「なれるよ。でも、力を使うと疲れるから、夜に店を開けられなくなる」   力を温存するため、昼間は極力眠ることにしているらしい。  そこまで言って、眠さがピークに達したのか、むくっと起き上がり、のろのろ歩きながら、日当たりのいい縁側へ移動する。  体を丸め、本格的に眠りだした。  あそこがいつもの定位置らしい。  ――もしかして、私が出ていかないよう玄関を塞いでいた?  私が帰ってくるのを確認したからか、安心して眠っている気がした。  白い毛並みをとろんとした蜂蜜色の光が照らしている。  秋の日差しは優しい。  眺めていると私まで眠くなり、体が暖かくなってくる。  一緒に眠ったら、きっと居心地が――いや、それはやめておこう。 「昨日みたいに不埒な現場になるわ」  我に返り、買い物リストを手に外に出る。  いつものように、竹林の小道の途中にある神社に手を合わせた。  ――うちにあなたの狛犬様が住んでます。  狛犬がいなくて困っているかもしれないので、念のため、神様に居場所を報告しておいた。  まあ、きっと知っているだろうけど、寛大な神様である。
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